MEMOIRS東進見聞録

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子供たちよ、君たちの仕事は勉強である!

2020年05月01日[学長メッセージ]

 総務庁(現総務省)は、1994年に日本、アメリカ、韓国において、興味深い調査を行った。7歳から15歳までの子供を持つ親に、学校以外での子供の平均的な勉強時間について質問しその回答を集計した。この調査報告によると、すでに今から8年前の時点でも、日本はアメリカや韓国に比べて子供の勉強時間がはるかに少ないということが判明した。学校以外では勉強を「ほとんどしていない」と「30分くらい」を合計すると、日本は41.7%になる。これに対し、アメリカはたったの21%、お隣の韓国は11.3%にすぎない。逆に、2時間くらい勉強する」と「3時間以上勉強する」を合計した比率は、日本は23.2%しかないが、アメリカは41.4%もあり、韓国に至ってはなんと63.6%もある。最近べネッセが行った調査でも、ほぼ同じような結果が出ている。そのかわり、テレビを毎日3時間半以上見る中学生は、このベネッセの調査によると30.9%にものぼるという。他にゲームをしたりマンガを読んだりしている時間を合わせれば、日本の子供たちの多くは勉強より遊んでいる時間が圧倒的に多いと言える。子供たちはこんなにも時間的ゆとりがあるのに、2002年からさらなる「ゆとり教育」を目指して、文部科学省は授業時間数で2割、カリキュラムで3割の削減を実施した。世界の教育の流れとは完全に逆行している。私には、その意図がどうしても理解できない。

 

 

 かつては、世界中から日本の子供たちの勤勉さと学力水準は高く評価されていた。そして、それが日本の驚異的な経済発展と生活の豊かさを支えていると世界中から賞賛されてきた。しかし、その神話はもう終わろうとしている。今、数学や英語の学力の国際比較を行うと、日本の子供たちは欧米やアジアの子供たちに無残に負けてしまう。このままいったら、10年先に日本の経済はどうなるのだろう。中国の子供たちは1日17時間も勉強すると言われている。しかも、彼らは大人になれば日本人の20分の1から30分の1の給料で一生懸命働く。働く人材も優秀、人件費も比べものにならないくらい安いというのであれば、日本の企業がどんどん中国に生産拠点を移すのは当たり前ではないか。そうなると、今の子供たちに働く場所はあるのであろうか。おそらく日本には、中国や東南アジアでは作れない高度なものを生産する道しか残されていないだろう。

 

 

 しかし、怠けることが習慣となって過ごしてきた子供たちに、将来の高度科学技術時代の日本が支えきれるのだろうか。日本の最先端企業がこぞって外国から優秀な若者たちを採用しなくては企業活動がうまくいかない、という事態だけはなんとしても避けなければならない。「子供たちよ、君たちの一番重要な仕事である勉強を、もっと真剣にやりなさい。さもなければ、将来食べていけないぞ」と声を大にして言いたい。

 

東進ゼミナール 学長 飯田陸三著 「何のために学ぶか」より