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摩詞不思議な魔法の言葉 :目標

2019年11月01日[学長メッセージ]

~どんな生徒の学力も絶対にアップさせるキーワード~

 

柔ちゃんの「最高でも金、最低でも金」

 

 私は三十年間、生徒を指導してきた。この経験からある真理を発見した。伸びる生徒は共通してあるものを持っているということである。それを明らかにする前に、シドニーオリンピック女子柔道で金メダルを獲得した「柔ちゃん」こと田村亮子選手の話をしたい。

 田村選手はシドニーオリンピックに出かけるとき、記者団から「あなたのメダルの目標は何ですか」と聞かれて、「最高でも金、最低でも金」と答えた。そして、手首をいためていたにもかかわらず、見事に決勝戦で一本勝ちし金メダルを獲得した。田村選手は女子柔道四十八キロ級で今までに二回しか負けていない。その二回がオリンピックの決勝戦での負けであった。だから、オリンピックで金メダルを獲得したいという思いは、彼女の執念となっていたのだろう。この「絶対に勝つんだ」という執念が、厳しい練習にも耐えぬく力を彼女に与えた。そして、「また負けるかもしれない」という不安と戦う力を彼女に与えた。

 勝つためには、はっきりとした目標を持つこと、その目標に向けて最大限の努力をすること、この二つが絶対にいる。

 

 

伸びる生徒はみんな目標を持っている

 

 私の指導していた生徒で、生まれつきとても優秀な頭を持っていた生徒がいた。だが、なかなか学力が伸びない。「こんなに頭のいい子なのになぜ伸びないのだろう」と不思議に思って調べてみると、なんとその子には具体的な目標が何にもなかったのである。ただ何となく塾に通い何となく授業を聞いていて、必死に努カしないからせっかくの才能を持っていても活かせない。

 反対に、生まれつき特別頭がいいというわけではないのに、誰もがびっくりするくらい学力を伸ばした生徒が何人もいる。どうしてそんな奇跡のようなことが起きるのかと思って調べてみると、彼らは例外なく具体的な目標をしっかりと持っていた。強烈な目標を持っているから、自分のなまけ根性と戦い必死の努力を続けることが出来る。「チリも積もれば山となる」ということわざがあるが、まさしく努力をコツコツと積み上げていけば、誰でも信じられないような成果を出すことが可能だ。

 

 

目標を持つためのコツ

 

 皆さんの中には、「日標を持つことの大切さは分かるけど、 自分はなかなか目記標が見つからない」、「一応目標はあるけれど、なんか頑張れない」と悩んでいる生徒もいるだろう。実は、具体的で強烈な目標を自分の中に作ることはそんなに難しいことではない。誰でも自分を燃え立たせてくれる目標を持てる方法があるのだ。それは、とりあえず思いついた目標を紙に書いてみるという方法である。そして、なぜ自分はそれを目標として掲げたのか、紙を見ながら考え、その理由を考え、それも簡単に書いておくと良い。さらに、その目標を達成するためには何が自分には必要かも書くと良い。もちろん、目標はどんどん変わってもかまわない。そんなことを繰り返しているうちに、だんだん自分が本当に求めているものに近づいていく。

 例えば、将来医者になりたいという目標を掲げたとする。そうすると、自分はなぜ医者になりたいのかを考えて、その理由を紙に書くことになる。病気の人を治したい、お金を平均以上稼ぎたい、親の跡を継ぎたい、いろいろな理由が見つかるだろう。この時点では理由は何でもかまわないのだ。今度は医者になるための方法を考えて書くことになる。医者になるためには大学の医学部に入らなくてはならない。親や先生に医学部に入るのはどのくらいの学力が必要か質問することになる。すると、漠然と考えていたより医学部へ進学することが難しいということが分かってくる。現在の自分の学力との落差に驚くことになるが、一応紙に書いて机の前に貼っておけば、そのための勉強スケジュールを立てようという気になる。

 一度決めた目標は絶対に変えてはならないということはない。しだいに世の中のことや自分自身が見えてくれば、人生の目標は変わってくるものだ。大事なことは、目標を持たずだらだらと生きない、ということである。

 

東進ゼミナール 学長 飯田陸三著 「何のために学ぶか」より