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頭は使えば使うほど良くなる

2019年07月01日[学長メッセージ]

~脳は骨惜しみせずに大いに使うべきだ~

 

 皆さんの中に頭が悪くなりたい、と思っている人はおそらくいないだろう。誰もがもっと頭が良くなりたい、と願っているはずである。長い間、人々は「頭の良さは生まれつきである」という迷信に支配されてきた。そのため、自分は生まれつき頭が悪いからどうせ勉強しても無駄である、と考えて学習努力をしない人も多い。しかし、最近の大脳生理学はこの考え方が間違いである、ということを明らかにしつつある。最近の研究によれば、人間の脳は手足の筋肉と同じように鍛えれば強くなり、鍛えなければどんどん衰えていく、ということがはっきりしてきた。手足の筋肉は毎日腕立て伏せをしたり歩いたりすることによって、どんどん強くなっていく。頭を良くする方法も同じである。毎日問題を解いたり新しいことを覚えたりすることで、どんどん頭は良くなっていくのだ。兵庫県のある小学校で、毎日「百マス計算」を子供たちにさせたところ、驚くほど成績が向上したという報告がなされている。あわせて漢字の書き取りや音読、古典の暗唱にも挑戦させた。驚いたことに、知能検査をやってみると子供たちの知能指数も全体的に良くなっているということが判明した。知能指数は生まれつきのもので一生変わらないと思われてきたが、学習努力によって向上させることができることが証明されたのだ。この小学校は山間にあるため毎年の卒業生は少ない。しかし、国公立の医学部をはじめとして難関大学に驚くほどの合格者を出している。

 

 人間の脳は千数百億の神経細胞から出来ている。この一つ一つの神経細胞は様々な情報を処理する端末器官である。図を見ていただきたい。

写真

 ひとつの神経細胞からはたくさんの神経線維が飛び出している。この神経線維は神経細胞からの情報を運ぶ「生きた電線」と言っていい。この神経細胞と神経線維をまとめてニューロンという。ニューロン同士はシナプスというところでつながっている。このシナプスを通して一つのニューロンから別のニューロンへと情報が伝わっていく。脳を鍛えるというのは、このシナプスの結合を強化し、ニューロン同士の有効なつながりを形成していくことに他ならない。そのためには、学習という行為によって情報をニューロン間に流してやる必要がある。単純な計算を繰り返したり、漢字や英単語を覚えたり、文章を暗唱したりするのは、このためにとても有効な方法である。ある程度ニューロンのつながりが強化されれば、今度はもっと高度で創造的な思考も可能となる。

 

 ある調査によると、テレビを毎日二時間以上見ている子供に高学力の子はいないそうである。テレビを見ているだけでは情報をただ受け止めているだけで、実際には頭を使っていないからであろう。これから日本の暑い夏がやってくる。学校も休みとなる。もし毎日、家でボケーとテレビを見たりゲームばかりしたりしていると、本当に頭がどんどん悪くなっていってしまう。冷房の効いた涼しい教室で、ライバルと競いながら集中して勉強してほしい。必ず頭が良くなるはずだ。

 

 私の塾では、算数の時間に、三十秒間でいくつ計算問題が解けるかを競う「計算トライアル」を実施している。中には三十秒間で五十題の計算をやりきってしまう生徒も出てきた。これは大人の平均値の一.五倍のスピードである。塾生の評判はすごくいい。楽しんで計算トライアルに参加し、脳が活性化されたところで本格的な授業に入っていけるからだ。

 

 人間の脳は使えば使うほど良くなるものだから、骨惜しみせずに大いに使うべきだと思う。

 

東進ゼミナール 学長 飯田陸三著 「何のために学ぶか」より