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驚くべき中国の超常教育

2020年01月01日[学長メッセージ]

 ここに背筋がゾーッと寒くなってしまうような恐ろしい言葉がある。「車体の品質管理ではトヨタにだって負けません」。これは上海交通大学の車身製造技術センターの來新民教授の言葉だ。皆さんも知っていると思うが、世界中で最も品質管理のレベルが高いのがトヨタだ。そのトヨタに負けないくらいの技術力を中国の研究機関が持っているというのだ。この自信の背後にはちゃんとした理由がある。それは中国の徹底したエリート教育である。

 

 

 中国科学技術大学には、十五歳以下の子供に徹底した理工系の「超常教育」(天才教育)を行う「少年班」がある。少年班に入れるのは、各地域の所属学校の推薦を受けた十五歳以下の秀才である。日本でいえば、中学三年生以下の子供たちである。彼らは、通常の大学入試とまったく同じ問題で受験する。さらに面接で知識力や理解力を徹底的にチェックされる。昨年(2002年)の受験者は千二百十一人で、合格者はたったの五十四人であった。入学後二年間は基礎科目として数学、物理、コンピュータだけを徹底して学ぶ。平均すると、普通の大学生より一週間で十時間ほど授業時間が長い。もちろん勉強量も大学生よりずっと多い。四年生になると、ハイテク関連の研究所や企業に研究員として入り込み、実戦さながらに勉強する。仮に十五歳でこの大学に入学したとすれば、十九歳でもう最先端の研究所や企業の研究員となるのだ。日本の大学生はこの年齢ではたいていバイトや遊びで時間を浪費している。最先端技術に関する知識や能力では、おそらくこの少年班の生徒たちに絶対に太刀打ちできないだろう。

 

 

 この少年班の卒業生の受け皿となっているのが、最近中国にどんどん進出している外資系の研究機関である。彼らは普通の中国人の何十倍の給与をもらって、これらの研究機関で最先端の技術開発に挑戦している。北京のマイクロソフト・リサーチ・アジアの張亜勤所長も中国科学技術大学少年班の出身である。同じくここの出身である劉慶峰さんは自分でソフト会社を作って二十代の経営者となった。彼の会社が作った中国語の音声合成ソフトは、世界中のIT関連会社百十社が採用している。アメリカのIT最大手であるインテルも今年(2003年)の一月に劉さんの会社に出資した。

 

 

 皆さんの中には、中国はまだ遅れた国で、日本の方が科学技術ははるかに進んでいると考えている人がいるかも知れない。しかし、それは甘い考えだ。今の中国の教育熱はすごい。なにしろ、生徒たちは一日平均十七時間勉強する。日本がこのままカリキュラム三〇%削減だの、授業時間二〇%削減だのとやっていたら、確実に日本は負けてしまう。将来中国に出稼ぎに行かなくてもすむように、日本の子供たちにはもっと危機感を持って勉強に励んでもらいたい。

 

 

東進ゼミナール 学長 飯田陸三著 「何のために学ぶか」より