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BORN TO WIN

2019年05月01日[学長メッセージ]

~「勝つ」というのは、結局自分自身に勝つこと~

 

 

 「自分はいったい何のためにこの世に生まれたのだろうか」と、誰でもふと思うことがある。時々、自分はこの世の中にとって何の意味もなく、みんなに迷惑をかけているだけの存在ではないかと思ってしまうこともある。生きる意味が見つからず苦しい日々が続く。親に「なぜ私なんかを生んだのだ」と文句を言ってみたくなる時さえある。しかしよく考えてみると、自分がこの世に生を受けたのは決して偶然ではなく自らの意志だ、ということに気づく。何十億という精子の中から飛び出したたった一つの精子が卵子と出会い、この世に誕生したのが私たちだ。生まれる前からすでに自分自身で自分の生を選択しているのだ。「勝手に生んだ親が悪い」という言い訳はきかない。

 

 

 「自分が人間として生きる意味」は、道端にころがっているわけではない。たまたまそれを見つけて拾い上げた人がラッキー、というようなものでもない。結局は自分でつくりあげていくものなのだろう。『BORN TO WIN』という名著がある。直訳すれば、「勝つために生まれた」という意味になる。しかし「勝つ」といっても、他人を制圧し支配者として権力を振るうことを勧めているのではない。大金持ちになったり、他の人が手にすることの出来ない地位や名誉を獲得したりすることをWINと言っているわけではない。そうしたことに成功した人が本当の意味での勝利者と言えないことは、この国の今の政治家を見ていてもよく分かる。

 

 

 「勝つ」というのは、結局自分自身に勝つことなのではないだろうか。自分の中には、人間らしく生きるためには絶対に克服しなければならない弱さがいっぱいある。怠け心、ずるさ、利己心、思いやりのなさ、よこしまな欲望、気弱さ、力不足…。何かを成しとげようと決意したときには、こうした自分の中にある弱さと戦いそれに打ち勝たなければならない。そして、自分の中にたくましく生きる力を創造していかなくてはならない。

 

 

 東大に合格したT君は、自分の中にある怠け心と必死になって戦いながら「自分には必ず出来る」と常に言い聞かせ、他の生徒の何倍もの努力を続けてきた。彼は東大に合格したから勝利者となったのではない。そう見る人もいるだろうが、私は違う。壮絶な自己との格闘を通して、「自分はやれば出来るのだ」という信念を獲得したからWINNERとなったのだ。努力の価値を実感したからこそ、この勝利が彼のその後の人生をよりたくましいものとしていくのだ。もちろんT君は、これからも自分を磨きつづけるという課題にチャレンジしていかなくてはならない。誰にとっても、BORN TO WINは一生の課題であり、このための努力と成長のプロセスの中にこそ、「人生の勝利者とは何か」の答が秘められているのではないだろうか。私にはそう思えてならない。

 

東進ゼミナール 学長 飯田陸三著 「何のために学ぶか」より