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コラム

宇宙は無限に拡大するか~ニュートリノで宇宙の謎を解明する~

~ささやかな力でも立派に世の中の役に立つ~

岐阜県の神岡町に亜鉛を採掘していた大きな鉱山がある。この鉱山から流れ出た廃液が神通川に流れ込み、下流域でカドミウムを原因物質としたイタイイタイ病が発生した。四大公害病のひとつとして社会の教科書でも習う。

今、この神岡鉱山は別の理由で脚光を浴びている。鉱山の廃坑を利用したカミオカンデがつくられ、宇宙や地球上から飛んでくるニュートリノの観測施設となっているのだ。このニュートリノがカミオカンデにたたえられた水の分子にぶつかり、かすかな光を放つ現象の検出に東大の小柴昌俊教授が初めて成功。物理学者たちが予言していたニュートリノの存在が科学的に実証された。これが2002年のノーベル物理学賞の受賞につながったのである。カミオカンデで観測されたニュートリノは、マゼラン星雲で超新星が爆発した時に宇宙に放たれたものだ。ところで、なぜニュートリノに関するこの観測がノーベル賞に値するほどの大きな発見になるのか。

長い間、ニュートリノには質量があるかどうかが学会で議論されてきた。もしニュートリノに質量があるとすると、宇宙には内に向かって引っ張る力がより強く働く。ちょうど細いゴムより太いゴムの方が縮む力が強いように。超新星から飛来したニュートリノがカミオカンデの水にぶつかり光を放ったということはニュートリノの存在を証明したが、その後のスーパーカミオカンデの観測によって「ニュートリノ振動」仮説がより確かなものとなった。この振動はニュートリノに質量があると仮定しないと考えにくい。つまり、同時に発生したいくつかのニュートリノが飛来する途中で質量の違いからばらけて到達したと思われる現象を観測したのである。今、宇宙は外側に向かってものすごい速度で膨張している。このことは、光のドップラー効果でも確かめられている。宇宙は永遠に膨張しつづけるという学説もある。しかし、宇宙に充満しているニュートリノに質量があるとすれば、やがて宇宙はその力で内側に向かって収縮していくとも考えられる。小柴教授の発見は、これから宇宙がどうなるのかということを推測する際の重要な手がかりとなるのだ。肉眼では絶対に見ることの出来ない小さな光が、宇宙の構造や将来の姿を考えるのに助けになるというのはとても面白い。

捉え方次第で人間の可能性は無限に拡がる

自分の力なんてとるに足りない、宇宙の悠久の時と比べたら自分の存在はむなしい、と考えている人もいるかも知れない。しかし、そうではない。ささやかな力でも立派に世の中のために役立つということはいっぱいある。カミオカンデで観測された一瞬の光が宇宙のなぞの解明につながったように、私たち人間のごく小さな力が地球人類の幸福につながることもある。小柴さんのノーベル賞受賞をこんな見方で捉えなおしてみるのも、またとても楽しいことではないだろうか。

岐阜県、可児、西可児、多治見、多治見北、美濃加茂、土岐、瑞浪、関、各務原の学習塾
東進ゼミナール 学長 飯田陸三著 「何のために学ぶか」より

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