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野に咲く一輪のすみれを美しいと思う心を育てたい~教育対談④~

2021年04月01日[学長メッセージ]

…… 東進ゼミナールが、子供たちの中に育成していこうとしているチャレンジャー精神についてお聞かせください。

 

飯田

 冒険家の植村直巳さんや世界で初めて大西洋横断無着陸飛行に成功したリンドバークを見て分かるように、チャレンジャーはいつも自分自身に困難な目標を設定し、それをなんとしても実現してみせるという気概、意欲を持っています。そして、その実現に向けての努力を惜しみません。今の子供たちは妙にさめていて、受験に対しても「ただなんとなく」「しかたなく」というフリをします。自分が本当にいきたい学校を志望校として選ぶよりも、現在の自分の学力にあわせて志望校をずるずるとレベルダウンする傾向があります。しかし、こうした生き方は「努力」を要しないので、学力もつかないし人間的な成長にもつながりません。「カニは自分の大きさに合わせて穴を掘る」といわれていますが、人間はそうであってはいけません。人間の本質は、無限の可能性を秘めたダイヤモンドの原石です。より高い目標を設定し、その実現に向けて努力を続けていく、そしてその努力の中で自分が持っている可能性を開花させていく、そんなたくましい生徒を私たちは育てていきたいと考えています

 

…… 先ほど言われた情緒力はちょっと分かりにくいので、少し具体的に説明していただけますか。

 

飯田

 情緒力とは、一言で言えば「野に咲く一輪のすみれを美しいと思う心」です。価値意識や判断力の元になる感性の力と言ってもいいと思います。殴れば痛い、侮辱すれば心が傷つく、人を裏切れば良心が痛む、人の役に立てば幸福になれる、そういうことを魂で感じられる子供たちを育てていくことは教育者の使命であると感じています。

 もしこの情緒力が欠けていたり大きくずれていたりすれば、いくら知識や方法を身につけていても、世の中の役には立てないでしょう。むしろ逆に、人間的な感性が欠けている人が知識や方法を身につけると、社会に害悪をなす場合が多いと思います。ごみが落ちていたら進んで拾う、トイレのスリッパは次に入る人のことを考えてきちんとそろえて脱ぐ、友達が消しゴムを落としたら拾ってあげる、そういう日常的な習慣から人としての感性や価値意識が育っていくのではないでしょうか。東進ゼミナールは、こうした五つの力を統合的に育てて、二十一世紀を担う子供たちに「生きる力としての学力」をしっかりと育成していきたいと考えています。

 

東進ゼミナール 学長 飯田陸三著 「何のために学ぶか」より